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傷病手当金 会社が知らないと損するデメリットは?

2023年12月28日

企業にとって、従業員が長期にわたって職場を離れることは、生産性への影響はもちろんのこと、給与コストの面からも大きな課題となります。

ここで重要な役割を果たすのが「傷病手当金」の制度です。
しかし、この手当金に関する正確な知識が不足していると、社員側にも企業側にも予期せぬ負担が生じる可能性があります。

傷病手当金とは具体的にどのようなケースで支給されるのでしょうか?

また、企業がこの制度の把握を怠ることによって生じうるリスクや、社員が手続きをスムーズに進めるために企業はどのような情報提供をすべきなのかも気になるところ。

本記事では、こうした手当金の基本的な知識と、企業が制度を理解し適正に運用するためのポイントを解説していきます。

傷病手当金 会社が知らないと損するデメリットは?

傷病手当金の基本知識と企業が把握を怠るリスク

傷病手当金が支給されるケース

傷病手当金は、社会保険に加入している労働者が、病気や怪我で働けない時に受け取れる給付金です。

支給の条件として、「症状が業務外の傷病であること」「継続して3日以上の欠勤があり、その間給与の支払を受けていないこと」「待機期間を経ていること」などが挙げられます。

具体的な支給額は、基本給与の約3分の2に相当し、支給期間は原則として1年6ヶ月を限度としています。
この制度は、病気やケガのために収入が途絶えるリスクを補助し労働者の安定を図ることを目的としており、手当金は生活基盤を支える上で重要な役割を果たします。

企業における傷病手当金の知識不足による問題点

企業が傷病手当金に関する正確な情報を把握していない場合、社員が適切な福祉支援を受けられない問題が生じかねません。

また、社員が傷病手当金の存在や手続き方法を知らなければ、サポートが必要なときに権利を行使できず経済的負担を余儀なくされることがあります。

不足する情報は社員の不満に繋がり、企業の従業員満足度(ES)の低下や、経営陣に対する信頼の損失を招くこともあるため、企業にとっても望ましくありません。

企業が傷病手当金に関する情報を提供すべき理由

企業は社員に対して傷病手当金に関する情報を提供する責任があります。
これは人事労務管理の一環として、社員が適切なサポートを受けられるようにするためです。

社員が制度を理解し利用できる環境を作ることで、病気や怪我で困窮する社員を支援し、ストレスや不安を軽減する効果があります。
企業は社員の福利厚生の向上に努め、更なる組織強化とブランド信頼の構築にもつながります。

社員が傷病手当金を利用する際の手続きプロセス

傷病手当金を申請する際には、まずかかりつけの医師に診断書を発行してもらいます。

次に、診断書を添えて用意された申請書に必要事項を記入し社会保険労務士や人事部門に提出します。
申請書は健康保険組合へ送付され、審査を経た上で支給が決定されます。

社員には申請から支給までに時間がかかる場合もあり、複雑な手続きをスムーズに進めるためには企業のサポートが不可欠です。

社員への周知方法とタイミング

傷病手当金の情報は、新入社員研修や定期的な福利厚生説明会で提供すべきです。
また、社内インターネットや掲示板を活用して手続きの流れや必要書類のリストを掲載することが有効です。

社員が病気や怪我をした時にはすぐに必要な情報にアクセスできるようにすることが大切です。
情報の更新は定期的に行い、社員へのメール配信や小冊子の配布により、最新の制度情報を提供し続けることが重要になります。

会社にとっての傷病手当金の経済的影響

傷病手当金と労働生産性

傷病手当金の支給は、労働生産性の維持と向上に貢献します。

社員が負担なくリカバリーの時間を確保できる環境は、より早い職場復帰と心身の健康を促進します。
加えて、膨大な医療費への心配を軽減することで、社員のモラルやモチベーションを高め、結果として生産性向上へと繋がると考えられます。

企業はこの制度を通じて、病気や怪我からの復職を円滑にし、長期的な人材育成にも努めることができるのです。

給与コストと傷病手当金との関係

傷病手当金の存在は企業の給与コストに影響を与える可能性があります。
社員が業務外の傷病で長期間休業する場合、その間の給与を支払う責任は企業にはありません。

傷病手当金が給与の一部をカバーすることで、企業の経済的負担を軽減し、減給による社員の生活への影響を緩和することができます。
この制度を適切に活用することによって、企業は資金配分を最適化し、他の投資への余地を持たせることが可能です。

社員の健康管理と傷病手当金の活用

社員の健康管理は企業にとって重要な課題です。
安定した労働環境の提供は社員が安心して働ける基盤となります。

さらに、傷病手当金の知識共有は社員自身が健康に対する意識を高めるきっかけとなり、結果として企業全体の健康状態の向上に寄与します。

健康経営を実践する企業にとって、傷病手当金は有効なリソースとなりえるため、この制度の適切な活用を図ることで、加入している社員の健康支援と企業の経営基盤の強化を同時に推進できるのです。

企業が傷病手当金について正確な知識を持つことは、社員の健康と経済的なサポートを適切に行うために重要です。

本記事では、傷病手当金の支給条件や知識不足による問題点、情報提供のメリット、手続きプロセス、周知方法について解説しました。

この記事が、企業が傷病手当金について理解を深め、実践に移す一助になれば幸いです。