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就業規則を変更する方法は?手順や注意点などを解説

2023年07月31日

時代によって働き方は変化します。
会社を創立する際に作った就業規則があります。

しかし、その就業規則が現在の働き方に合わないケースもあるでしょう。
就業規則は一定の手順を踏めば変更は可能です。

しかし、やってはいけないことや注意点もあります。
今回は、就業規則の変更方法や変更する手順、変更する際の注意点などを解説します。

就業規則を変更する方法は?手順や注意点などを解説

就業規則の変更手続きの流れ【4ステップで完結】

就業規則とは、賃金や労働時間など職場のルールを定めたものです。
労働基準法の範囲内で会社が自由に定められます。
労働者と使用者(会社)が規則を理解しましょう。
そのうえで「この条件で働きます」と契約を交します。

労働者が安心して働くためにも、就業規則はとても大切です。
その一方で、就業規則を定めてから時間が経過しすぎるとどうしても現在の勤労事情と合わなくなってきます。

就業規則は変更可能ですが、会社側が好き勝手に変えてはいけません。
ここでは、就業規則を変更手続きの流れを解説します。

変更案の検討・作成

まずは、就業規則のどこを変更するか検討して変更案を作成します。
例えば、条例や法律の改正による変更ならば変更する部分も理由もわかりやすいので、変更案の作成は比較的スムーズに進むでしょう。

注意しなければならないのは、業績の悪化などで賃金の改正や福利厚生の停止などが必要なために就業規則が変更されるケースです。
この場合は、従業員全員に納得してもらうだけの理由付けが必要です。
経営者側でしっかりと話し合って決めなければなりません。

労働者代表からの意見聴取と意見書の作成

就業規則を変更する際は、労働組合がある場合は労働組合の意見を聞いて意見書を作成しなければなりません。
会社に労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する方の意見で代用します。
意見書の様式は特に決まっていませんが、以下の文言は入れなければなりません。

・事業所の名称と代表者の名前
・意見書に記入した日付
・意見の内容
・労働組合の名称、あるいは労働者の過半数を代表する者の職名・氏名・押印

従業員の意見がない場合でも、形式として意見書は作成します。

就業規則変更届の作成と提出

意見書を作成したら、次は就業規則変更届を作成して最寄の労働基準監督署に提出します。
就業規則変更届にも、書式は特に指定されていません。
労働基準監督署のホームページに、ひな形がダウンロードできるようになっているので利用してもいいでしょう。

就業規則変更届を作成したら、新しい就業規則と意見書と共に最寄の労働基準監督署に提出してください。
これで、就業規則変更の手続きはすべて終了しました。

変更した就業規則の周知

就業規則を変更したら、就業規則を従業員に周知しましょう。
せっかく変更したのに、従業員に周知しなければ意味がありません。
就業規則の量が多い場合は、変更点だけでも説明してください。

特に、業績悪化などにともなう就業規則の変更は従業員への理解が大切です。

就業規則の変更で注意すべき5つのポイント

就業規則を変更するタイミングには、以下のような場合が挙げられます。

・会社の業績が悪化したとき
・産休や育休制度を設けたとき
・法律や条例などが変わったとき

ここでは、このような場合に就業規則を変更する際の注意点を紹介します。

変更するタイミング

就業規則は、変更が必要になったら速やかに変更しましょう。
就業規則は、法律と並んで会社が守るべき規則です。

不利益変更は原則禁止

不利益変更とは、賃金の引き下げや労働時間の変更、手当の削減、年間休日の削減などが該当します。
これらの項目は、法律に違反しない限り就業規則で自由に決められます。

しかし、労働基準法では、使用者は労働者の合意なく就業規則を変更して、労働者の不利益な労働条件にすることはできないと定められています。
そのため、就業規則の変更には注意が必要です。

たとえ急な変更が必要だとはいっても、労働者の合意なく不利益変更は禁止されています。
変更する場合は労働者との話し合いが必要です。

不利益変更の場合は合理性が必要

ただし、不利益変更を行わなければならない合理的な理由があった場合は、例外として賃金引き下げなどの就業規則の変更が行えます。
合理的な理由とは会社の業績悪化などが挙げられますが、あくまでも最終手段と考えましょう。

また、不利益変更をする場合も、従業員への周知と説明は必須です。
問答無用で変更してはいけません。

労働者代表との協議や合意が望ましい

不利益変更を行う場合、すんなりと同意するケースは少ないです。
たいていの場合は、反発されて労働組合がある場合は意見書の提出を出し渋られるでしょう。

意見書が提出してもらえなくても、意見を聞いたことを証明する報告書を提出します。
法律上は就業規則の変更が可能です。

ただし、「意見を聞こうとしたこと」を客観的に証明できるような形にしなければなりません。
意見書を出し渋る労働組合は、就業規則の変更に難色を示すでしょう。
ですから、時間がかかっても構いません。
協議や合意を取るように努力しましょう。

変更後の周知徹底が大切

前述したように変更した就業規則は、従業員に周知徹底しましょう。
従業員が就業規則を知らなかった、ではすまされません。
可能ならば、就業規則の変更を周知させるための説明会を開くのが最適です。

まとめ

今回は、就業規則を変更する手順や注意点などを紹介しました。
就業規則は設定した時期が古いほど、定期的な変更が必要になります。

また、不利益変更を行う場合は時間をかけて従業員の理解を得ましょう。
「合理的な理由があるから」といったときでも、会社が一方的に就業規則を変更してはいけません。
従業員と話し合いを重ねてください。