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36協定で結んだ残業時間を超えらどうなる?対処法や罰則を解説

2023年07月15日

2019年の労働基準法改正に伴って、残業時間が月45時間を超えたら36協定違反となります。
しかし、繁忙期などで月45時間を超えて残業があるケースも珍しくないでしょう。

その一方で、36協定を形骸化させてはいけません。
今回は36協定に違反して長時間の残業をしなければならない場合の対処法や罰則について解説します。

36協定で結んだ残業時間を超えらどうなる?対処法や罰則を解説

36協定の残業時間を超えたらどうなる?

2019年に実施された労働基準法改正では、残業時間の上限を「月45時間・年360時間」とする原則を定めました。
つまり、従業員と会社が36協定を結んでいた場合、月45時間以上残業させると原則として違法となります。
ここでは、労働者に及ぶ影響や使用者(会社側)に課せられる罰則などについて紹介します。

使用者に科される罰則

労働者を雇用している使用者(会社)は、36協定に違反した場合は原則として罰せられます。
「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」です。
では、36協定を結ばなければ月45時間以上従業員に働いてもらえる、といったわけではありません。

労働基準法によって、従業員は1日8時間、1週間40時間を超えて働けないことになっています。
したがって、使用者(会社)は従業員に残業をしてほしい場合は、必ず36協定を結びます。

また、たとえ36協定を結んでいても、以下の従業員には残業を命じられないので注意しましょう。

・従業員が18才未満
・育児・介護のために残業できない旨の申し出があったとき
・妊産婦

労働者に及ぶ影響

改正前の労働基準法では、過剰な残業を使用者側が労働者側に強いても、行政指導が行われるだけでした。しかし、現在は明確な罰則があります。

なお、やむを得ない事情で1~2回残業時間を超えてしまっても、特に労働基準監督署などへの報告の必要はありません。
月45時間を大幅に超える残業をしていると、違法な残業が発覚するリスクが高まります。 違法な残業が発覚した場合、罰則と監視対象の両方になる可能性があります。

罰則や監視対象になることは、使用者や労働者にとって大きな不利益です。
つまり、労働者が報告などで動けば会社が罰せられる可能性がより高くなるでしょう。

時間外労働時間には上限がある

前述したように、時間外労働時間には上限が「月45時間・年360時間」までと定められました。
1日に直すと2.5時間までです。
例えば、9時~17時までの勤務時間の場合、残業はできて7時30分までと覚えて起きましょう。
なお、これに休日の労働時間は含みません。

また、法定内残業時間と法定外残業時間も知っておきましょう。
法定内残業時間とは、残業のうち法律で定められた上限を超えていないものです。
法律で定められた上限とは、1日8時間、1週間40時間を意味します。

会社が定めた所定勤務時間以上に働いた分が残業です。
残業の中でも、法律で定められた上限以下のものだけが法定内残業時間の扱いになります。
法定外残業時間は1日8時間、1週間40時間を超えた分の残業です。
所定内勤務時間が8時間未満の場合は、法定内残業時間は時間外労働に含まれません。

36協定の上限を超えて残業をさせても違法とならない例外

しかし、仕事によっては繁忙期などはどうしても月45時間以上しなければ対応できないケースもあるでしょう。
ここでは、36協定の上限を超えて残業したい場合の対処法を紹介します。

特別条項を定める

「特別条項付き36協定」とは、残業の上限を超えても罰せられない協定です。
この協定があれば、必要なときに従業員に多く残業をしてもらえます。
ただし、特別条項を定めれば何時間でも働かせてよいわけではありません。
以下のような条件があります。

・1年の時間外労働の時間数:720時間以内
・限度時間の超過が認められる回数:1年間に6回まで
・限度時間を超過した労働を命じた場合の割増賃金率:月60時間までは25%、月60時間以上は50%

また、特別条項を定める場合は労働者への事前通知や残業時間のすりあわせが必要です。
一方的に会社が労働者に特別条項を結ぶように求めてはいけません。

公務員は36協定が不要

国家公務員は労働基準法が適用されません。
また、地方公務員は部分的に労働基準法が適用されますが、36協定の締結に関する手続きは不要と定められています。
このほか、地方公務員の一種である公立教員(公立小学校~高等学校の教員)は、例外的に36協定が適用されません。
これは、「公立学校教育職員の給与等に関する特別措置法」が定められているためです。

なお、公務員以外では、管理職・同居の親族なども36協定の適用外です。

36協定の残業時間を超えた場合の対処法

前述したように、36協定の残業時間を超えた場合でもすぐに罰則が科せられるわけではありません。
しかし、「このくらいいいだろう」とずるずると残業をしていれば、やがて36協定が形骸がする可能性があります。
そうなれば、労働者の告発によって会社が罰せられる可能性もあるでしょう。

このような事態を防ぐために、まず労働時間の正確な把握をしましょう。
どう頑張っても残業時間が縮まらない場合は、人員を増やす、仕事を外部にアウトソーシングするなど対処法が必要です。

まとめ

今回は、2019年に改正された労働基準法に基づく36協定について解説しました。
月45時間の残業は一見すると少なく見えますが、1日3時間以上残業しないと仕事が終わらないなら、働きかたの見直しが必要です。
また、特別条項を定めたからといって、労働者に無尽蔵に残業を強いてはいけません。
36協定を結んだら、まずは労働時間の正確な把握から行いましょう。