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就業規則の意見書とは?記入内容や注意点を解説

2023年05月31日

就業規則の意見書は、就業規則を新たに作ったり変更したりする際に必要です。
新しく会社を立ち上げる、代替わりして規則を変更するといった場合に提出が求められます。

「どうやって書いたらいいの?」「経営者が勝手に作っていいの?」といった疑問を持っている方もいるでしょう。

この記事では、就業規則の意見書とは何か、提出が求められる場合や作成方法、注意点などを解説します。

就業規則の意見書とは?記入内容や注意点を解説

就業規則の意見書とは何か

はじめに、就業規則の意見書の定義や必要な理由、提出を求められる状況などを解説します。
就業規則を設けていても、内容をよく知らないといった方も珍しくないでしょう。

しかし、就業規則の意見書は労働者の権利を守るためにも大切なものです。
ぜひ、必要性を知っておきましょう。

就業規則の意見書の定義

就業規則の意見書とは、就業規則に関する従業員代表の意見をまとめたものです。

就業規則とは、賃金や労働時間、休日などの労働条件や職場内の規律について定めた規則で、10名以上の従業員がいる事業所では、作成が義務づけられています。

定めた就業規則は労働者基準監督署へ届け出て、社内の見やすい場所に掲示したり書面で交付したりしなければなりません。

この就業規則は会社側が作成しますが、一方的に「こういう規則を作ったので従業員は従うように」などと命令できません。

会社側が作った規則に従業員の代表が目を通してもらい意見を聞きます。
その内容を「意見書」としてまとめたうえで就業規則と共に労働基準監督署に提出する必要があるのです。

就業規則の意見書が必要な理由

就業規則の意見書が必要な主な理由は以下の2点です。

・会社が労働者に不利なルールを勝手に作成したり運用したりしないため
・労働者が労働条件に関心を持ったり就業規則の内容を理解したりするため

就業規則の意見書を提出する義務がまだなかった頃は、会社側が一方的に就業規則を決めたり、労働者側が就業規則を知らなかったりしたために発生するトラブルも珍しくありませんでした。

就業規則に法令や労働協約に反する内容は定められませんが、それでも労働者が不満を抱くケースもあるでしょう。
だからこそ、意見書が重要になります。

就業規則の意見書に書くべき内容

就業規則の意見書に記す内容は、以下のようなものです。

・会社名・代表取締役の氏名
・話し合いを実行した日付
・就業規則に対する労働者の意見
・労働組合や労働者代表のフルネーム
・労働者の代表者を選出した方法

なお、書き方に決まりはありません。
インターネット上にはテンプレートも多数公開されているので、利用してもいいでしょう。

就業規則の意見書の作成方法

就業規則の意見書の作成は、さほど難しくはありません。
就業規則に対して労働者が特に意義がない場合は、「異議はありません」「特に異議はありません」といった書き方をします。

異議がある場合は、「第×条は●●のように変更して欲しい」と記してください。
もし、労働者側が何らかの理由があって就業規則の意見書の提出を拒んだ場合は、「意見書不添付理由書」を書いて添付します。

就業規則の意見書は「労働者と会社側がきちんと就業規則について話し合いました」とする証明なので、同意しても意見があっても問題はありません。
意見があった就業規則を労働基準監督署に提出しても大丈夫です。

ただし、労使間のトラブルに発展する恐れは大きいのでしっかりと話し合って解決してください。

就業規則の意見書を作成する際の注意点

ここでは、就業規則の意見書を作成する際の注意点を紹介します。
特に以下に紹介する2点は厳守しましょう。

労働者の意見を聞かないで作成してはならない

労働者の意見を聞かずに就業規則の意見書を作成してはいけません。
就業規則の作成、もしくは変更のタイミングによっては仕事が忙しくて話し合いの時間が取れないケースもあるでしょう。

また、労働者が就業規則の重要性をあまり理解していない場合、「経営陣にすべて任すので、よろしく」などと言われるかもしれません。

しかし、労働者の意見を聞かずに勝手に就業規則の意見書を作成した場合、労働基準法違反となり、30万円以下の罰金が科せられる恐れもあります。
話し合いの形式は定められていないので、オンラインなどで話し合いを行ってもかまいません。

労働者の就業規則への理解が大切です。

労働者に賛成を強要してはならない

経営者と労働者は対等な立場ですが、力関係はどうしても経営者が上となります。
経営者が雇用の継続などを条件に「就業規則に賛成するように」と強要してはいけません。
賛成を強要した就業規則の意見書は無効です。

また、経営者が労働者の代表の指定もできません。
労働者同士で話し合うか、労働組合の代表者が労働者の代表を務めます。
労働者の代表を会社側が指定した場合も、就業規則の意見書は無効です。

まとめ

就業規則の意見書は、会社を創立したり就業規則を変更したりしない限り提出は求められません。
ですから、「就業規則の意見書」といった書類の存在を知らない経営者もいるでしょう。

しかし、これから会社を立ち上げようと考えている方は提出必須の書類であると覚えておきましょう。
また、就業規則を定めたら、従業員全体に周知してください。
就業規則を周知させておかないとトラブルの原因となります。