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出産手当金はいくら|簡単計算で早わかり

2025年10月15日

出産を控えている方にとって、「出産手当金がいくらもらえるのか」はとても気になるところですよね。
制度の仕組みは分かりにくく、計算式や条件を調べるのに時間がかかることも少なくありません。

本記事では、出産手当金の基本ルールから、実際の計算方法、そして申請の流れまでを分かりやすく解説します。
簡単な計算のコツを知っておくことで、事前に受け取れる金額をイメージでき、安心して出産準備を進めることができます。

出産手当金はいくら|簡単計算で早わかり

出産手当金は、いくらもらえる?

支給の基本ルール

出産手当金とは、健康保険に加入している人が出産のために仕事を休み、給与が支給されない(もしくは減額される)場合に支給される給付金です。

出産は誰にとっても大きなライフイベントですが、休職によって収入が途絶えると経済的な不安が生じます。
その不安を和らげるために設けられているのが出産手当金の制度です。

支給の基本ルールは「出産の日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から、出産の翌日以後56日までの範囲で、働けなかった日数分が対象」となります。
この期間は法律で定められた産前産後休業にあたるため、働かずに休んでいる日が対象となるのです。

計算式の確認や必要な期間の数え方

出産手当金の支給額を知るうえで重要なのが「計算式」です。
基本的な算定方法は以下の通りです。

【計算式】
標準報酬日額 × 3分の2 × 支給対象日数

ここで「標準報酬日額」とは、支給開始日前の継続した12か月間の標準報酬月額を基に算出されます。
もし12か月未満の場合は、直近の標準報酬月額や事業所の同一保険加入者の平均値を使って、計算される場合もあります。

また「支給対象日数」の数え方も注意が必要です。
産前休業は出産予定日の42日前からカウントしますが、実際の出産日が予定日より早まった場合でも出産した日までが対象です。

一方で出産が遅れた場合には、その遅れた日数も産前休業に含まれるため、結果的に対象日数が増えることもあります。

標準報酬の扱い

標準報酬月額は、出産手当金の計算において非常に重要な基準です。
これは給与の金額を一定の幅で区切ったもので、実際の給与額と完全に一致するわけではありません。
健康保険料や厚生年金保険料の算定にも用いられる仕組みで、給与明細や加入している健康保険組合の通知で確認できます。

特に注意したいのは、直前に昇給や減給があった場合です。

標準報酬月額は原則として年1回の定時決定や臨時改定で見直されるため、直前の給与額がそのまま反映されるわけではありません。
受給額を試算するときは、自分の最新の標準報酬月額をきちんと確認しておくことが大切です。

具体的な計算例

具体的な計算例を見てみましょう。

例:標準報酬月額が30万円の人の場合 標準報酬日額=30万円 ÷ 30日=1万円 出産手当金の1日あたり支給額=1万円 × 3分の2=約6,667円

もし対象日数が98日間(産前42日+産後56日)だった場合、
6,667円 × 98日=約653,366円 が支給されることになります。

このように、計算式に当てはめればおおよその受給額を把握することができます。

簡単計算で間違えないコツ

日数の扱い

出産手当金を計算する際に最も間違いやすいのが「日数の数え方」です。
出産予定日より早く出産した場合は、予定日までの期間ではなく実際に出産した日までが産前休業となります。

一方で予定日を超過した場合は、その超過日数分も産前休業として加算されます。
これにより、最終的な支給日数は予定日によって変動する可能性がある点を理解しておきましょう。

標準報酬月額とは

標準報酬月額は、社会保険に加入している人であれば毎月の給与額に応じて決まっている金額です。
給与明細の「健康保険料」や「厚生年金保険料」の計算根拠となっているため、会社や健康保険組合に確認すればすぐに分かります。

自分で試算するときは、直近の給与ではなく「標準報酬月額」に基づくことを忘れないようにしましょう。

休職の影響

出産手当金は、休職中の収入がゼロ、または給与が減額されている場合に支給されます。
もし会社から給与が満額支給されている場合は、その期間については出産手当金は支給されません。

ただし一部だけ給与が支給されている場合には、その差額を調整する形で手当金が支給される仕組みになっています。
このため「会社から給与が出るのか」「どの程度の金額か」を事前に確認しておくことが重要です。

申請手続きの流れ

出産手当金を受給するには、申請手続きが必要です。

流れとしては以下の通りです。

1. 会社または健康保険組合から申請書を受け取る
2. 医師または助産師に出産日や休業期間を証明してもらう
3. 勤務先に記入を依頼する(給与支給状況の証明など)
4. 健康保険組合に提出する

提出から支給までは1〜2か月程度かかることが多いため、余裕を持って早めに申請準備をしておくことをおすすめします。

まとめ|出産手当金の要点

出産手当金は、出産に伴う収入減少を補う大切な制度です。
支給額は「標準報酬日額 × 3分の2 × 対象日数」というシンプルな計算式で算出できますが、日数の数え方や標準報酬月額の扱いを正しく理解することが欠かせません。

また、会社からの給与支給状況によっては支給額が変動するため、事前に勤務先へ確認しておくこともポイントです。
さらに、申請には医師の証明や会社の記入が必要になるため、出産前から手続きを把握して準備を進めると安心です。
本記事を参考に、自分の支給額を把握し、出産に向けた経済的な準備を整えていきましょう。