お役立ちコラム
column
給与計算は1分単位が基本?正しい計算方法と注意点を徹底解説
2025年06月05日
「うちの会社は1分単位で残業代を計算しているけど、これって正しいの?」「15分未満は切り捨てって聞いたけど、法律的に問題ないの?」
働き方改革の影響もあり、労働時間の管理や給与計算の精度がますます問われる時代。
中でも注目されているのが「1分単位での給与計算」です。
企業にとってはコスト管理の一環ですが、従業員にとっては正確な賃金支払いに関わる重要な問題です。
本記事では、1分単位の給与計算の正しい方法や、労働基準法に基づいた取り扱い、そして実務上よくある疑問点までわかりやすく解説します。
給与計算を担当する方も、働く側として確認したい方も、ぜひ参考にしてください。
1分単位の給与計算方法について
1分単位での給与計算は、近年多くの企業で導入が進んでいる方法です。
従業員の労働時間をより正確に計算できる反面、計算方法や端数処理に関する疑問やトラブルが頻発しやすいテーマでもあります。
1分単位の給与計算とは?基本知識を抑える
従業員の出退勤時刻を分単位で記録し、その労働時間を1分単位で正確に計算するのが1分単位の給与計算です。
今や多くの企業でタイムカードや勤怠管理システムが発達したことで、より精緻な時間管理が可能になりました。
しかし、1分単位ならではの計算方法や他の計算単位との違いを理解していないと、給与計算のトラブルが発生しやすい点に注意が必要です。
1分単位とはどこからどこまでか
1分単位の給与計算では、出勤・退勤の時間を1分ごとに計測し、そのまま勤務時間に反映させます。
例えば、9時2分出勤、18時6分退勤の場合、9時間4分の労働時間として計算されます。
よくある10分単位や15分単位での切り捨て・切り上げ処理と異なり、どの時間も1分ごとに正確に積算していきます。
基本的に勤務シフトの開始前や終了後も分単位で記録することで、実労働時間をより細かく管理できるようになります。
1分単位で計算する具体的な手順例
まず、タイムカードや勤怠システムで記録された打刻時刻から、実際の出勤時刻・退勤時刻を1分単位で取り出します。
次に「退勤時刻-出勤時刻=実働時間(分)」という計算を行い、その合計分数に時給を換算するため「実働時間(分)÷60×時給」で給与額を算出します。
休憩時間がある場合は、その分数を予め差し引いた上で同様の手順を行います。
分単位ゆえ、端数や細かな勤務の違いも正確に反映される点が特徴です。
丸め処理や切り捨て・切り上げとの違い
丸め処理や切り捨て・切り上げ処理は、例えば5分単位や15分単位で時間を切り下げたり切り上げたりする計算方法です。
これに対し、1分単位計算は出退勤記録のまま分を集計し、端数処理を行いません。
そのため従業員の働いた時間をより公平かつ正確に反映できますが、その分計算や運用上のミスも起こりやすくなります。
従来の慣習による算出方法と異なるため、導入時には違いを周知し、労使間で認識を合わせることが大切です。
よくある疑問やトラブル例を解説
1分単位の給与計算では、導入初期や現場運用においてさまざまな疑問やトラブルが生じるケースがみられます。
代表的なものは、端数処理方法への誤解、勤怠システムの設定ミス、シフトパターンごとの計算方法、さらには残業や深夜時間の反映方法などです。
ここでは、1分単位計算によくある問題点や実務で陥りやすい注意点について、例を挙げながら丁寧に解説します。
端数処理をめぐるよくある誤解
1分単位計算では端数の切り捨て・切り上げを行わないのが原則ですが、「10分未満は切り捨てる」「5分未満は支給しない」といった誤解がしばしば現場で見られます。
これを誤って運用すると、従業員の未払い労働になる恐れがあります。
労働基準法でも、実働時間は正確に把握することが求められており、1分単位で管理している場合は分単位での支給が必要となります。
社内ルールと法律双方の視点から正しい理解が重要です。
時間管理システムを使う際の注意点
最近では多くの企業が勤怠管理システムを導入し、1分単位の自動集計も容易になりました。
しかしシステムの設定ミスや誤った運用によって、「実際は丸め処理がかかっていた」「休憩時間の自動控除の設定が不適切だった」といったトラブルが起きることも。
システム導入時は、設定内容と集計ロジックを充分に確認し、従業員にも利用方法や確認手順を周知徹底することがトラブル防止につながります。
シフトや残業時の計算はどうなる?
シフト勤務や残業が発生する場合も、1分単位計算であれば全ての労働時間を分単位でカウントします。
例えば、所定シフトを超えた部分は割増賃金計算の対象となり、その端数も1分刻みで算定します。
また、深夜労働や休日労働など特別な割増計算が必要な場合も、1分単位で各種割増率を適用する必要があります。
そのため、シフトごとや残業発生時の対応方法についても、明確にルールを定めておくことがポイントです。
まとめ
給与計算において「1分単位での管理」が求められる背景には、労働基準法による「実労働時間の正確な把握」の原則があります。
15分単位や30分単位での切り捨ては、原則として認められません。
企業としては、勤怠管理システムの整備や就業規則・労使協定での明確なルール化が重要です。
正確な時間管理は従業員との信頼関係にも直結します。
この記事では、1分単位の計算方法の基本や注意点、実務上のポイントをわかりやすく解説しました。
法令遵守とトラブル回避のために、ぜひ参考にしてください。