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裁量労働制はデメリットしかない?制度の落とし穴と実態を徹底解説

2025年05月08日

「裁量労働制って、結局“働き放題”じゃないの?」そんな声が近年、労働現場やSNSでも目立つようになっています。
出退勤時間に縛られず、自由に働けるように思えるこの制度ですが、実際には長時間労働の温床という批判も少なくありません。
本当に裁量労働制にメリットはないのでしょうか?それとも使い方次第?

この記事では、裁量労働制の制度の仕組みから、メリット・デメリットのリアルな声、そして社会での評判と実態まで、わかりやすく解説します。
これから導入を考えている方も、すでに働いている方も、ぜひ参考にしてみてください。

裁量労働制はデメリットしかない?制度の落とし穴と実態を徹底解説

裁量労働制はデメリットしかない?

裁量労働制は一見、自由な働き方ができる制度として注目を集めてきました。
しかし、実際には多くのデメリットが指摘されており、「メリットは本当にゼロなのか?」といった疑問の声も上がっています。

そもそも裁量労働制とは何か?

裁量労働制とは、労働者が業務の進め方や労働時間の配分などを自らの裁量で決定できる仕組みのことです。
実際には「みなし労働時間制」とされ、実働にかかわらずあらかじめ定めた労働時間働いたものとみなされます。

会社側にとっては人件費の計算がしやすい一方、労働者側は自由度が上がるという触れ込みですが、残業代が出ないケースもあり、労使双方で見解が分かれる制度です。

日本での裁量労働制の導入状況

日本国内では、一部大手企業やIT業界、広告業界などのホワイトカラー職種を中心に裁量労働制が採用されています。
しかし、導入企業数は全体からみるとまだ限定的です。

厚生労働省の調査によれば、全体の1〜2%ほどしか導入実績がないとの報告もあります。
また、導入の際には労使協定の締結や一定の職種制限、適正な労務管理が求められているため、運用面での課題も多く残されています。

裁量労働制の主張されるデメリットを徹底解説

裁量労働制にはさまざまなデメリットが指摘されています。
特に、長時間労働の常態化や、実際の働き方と報酬との間に生じるミスマッチが問題視されています。

労働現場からは、裁量性どころか「裁量を持たされず、ただ時間外労働が増えるだけ」といった声すら上がっているのが実情です。
ここからは制度の問題点に焦点を当てて詳しく掘り下げていきます。

長時間労働が常態化しやすい理由

裁量労働制は「みなし労働時間」分だけ働けば良いという制度ですが、実際には、その業務量や成果目標は従来通りかそれ以上に高く設定されるケースが珍しくありません。
そのため、成果を出そうとすればするほど長時間働かざるを得ず、時間外労働が常態化しやすくなります。

また、実労働時間の把握が曖昧なため、職場によっては「休んでいる暇がない」「上司の裁量で過重な業務を押し付けられる」などの問題も発生しやすいのが現状です。

成果と報酬のミスマッチ問題

裁量労働制では、仕事の成果に応じて報酬が変動しない場合が多く、どれだけ効率的に仕事をこなしても給料が変わらない「ミスマッチ問題」が顕著に現れることがあります。

逆に業務量が膨大なのに残業代がつかないため、実質的な賃金低下、モチベーション低下を招く原因にもなっています。
この制度が、従業員の自主性を阻害し、不公平感や不満へと繋がりやすいことから、導入に消極的な企業も少なくありません。

本当にメリットはゼロなのか?肯定派の意見

裁量労働制に対してはネガティブな意見が目立ちますが、肯定派からは「柔軟な働き方の実現」や「プロフェッショナルとしての能力発揮」など、その制度に一定の意義を見出す声もあります。

実際、一部の業種や従業員には適しているケースがあるため、制度の活かし方次第でメリットも生まれる可能性があります。
ここでは肯定的な意見を詳しく見ていきます。

柔軟な働き方の実現可能性

裁量労働制の最大のメリットは、労働者自身が仕事のスケジュールや進め方を自由に設計できることです。

満員電車を避けて通勤時間を変える、家庭の事情に合わせて中抜けするなど、ライフスタイルに寄り添った働き方が実現しやすくなります。

また、成果さえ出せば仕事のやり方は問われないため、自分に最適な働き方を追求することができます。
特に自己管理能力が高い人や、専門性に基づく働き方には大きな武器となる場合もあります。

一部業種で機能している具体例

広告代理店やコンサルティングファーム、ITエンジニアなど、成果が明確で高度な専門性が求められる業種では、裁量労働制が効果的に働いている例もあります。

例えばプロジェクト単位で進行する仕事では、繁忙期と閑散期の波が激しいため、裁量労働制によって柔軟に働くことでストレスを軽減し、ワークライフバランスを保っているケースが見受けられます。
実力主義を志向する職場では、むしろ働きやすい環境ともいえるでしょう。

まとめ

裁量労働制は自由な働き方を実現できる制度として導入が進む一方で、実際には「長時間労働が常態化する」「成果と報酬が合わない」といったデメリットが多く指摘されています。
特に制度の運用次第では、労働者の裁量が形骸化し、不満や疲弊につながることも。

一方で、IT業界やコンサル業界など、専門性が高く自律的に働ける職種では一定の成果を上げている事例もあります。
今後は、公平性と柔軟性の両立をどう実現していくかが問われる制度です。