お役立ちコラム

column

就業規則とは?作成・届出方法や変更が必要になる条件等を解説

2023年10月27日

一定の人数を雇用している事業所では、就業規則の届出が義務づけられています。
就業規則を作成しなければならなくなったが、どうすればいいか分からないと戸惑うケースもあるでしょう。
また、働き方や給与など、就業条件が変わった場合は就業規則の変更が必要になる場合があります。

今回は、就業規則の作成・届出の方法や変更が必要になる条件、変更届の出し方まで解説します。

就業規則とは?作成・届出方法や変更が必要になる条件等を解説

就業規則の概要と作成義務がある事業所の条件

就業規則は賃金や労働時間、解雇や懲戒処分の事由、服務規律の内容など就業にあたり従業員が守るべき規律を定めたものです。
労働者や労働者を雇用する側が守らなければならない法律といえば、「労働基準法」があります。
しかし、労働基準法は賃金の支払い、就業時間、割増賃金などの基準は定められていても、それぞれの会社に合わせた規則は定められていません。

そこで、就業規則を定め従業員と経営者に会社のルールを明確にします。
なお、就業規則は雇用形態を問わず、10人以上の従業員がいる事業所は作成が義務づけられています。
ちなみに、経営者が必要だと判断すれば、10人未満であっても就業規則を作ってもかまいません。

就業規則の作成・届出方法の手順を解説

就業規則はどのように作成し、届け出ればいいのか迷う方も多いでしょう。
ここでは、就業規則の作成から届出までの手順を解説します。
初めて就業規則を作成する経営者の方は参考にしてください。

就業規則の作成方法

就業規則は、「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」「任意的記載事項」の3つから構成されています。
詳しい内容は以下の表のとおりです。

絶対的必要記載事項
  • 労働時間に関する規則
  • 賃金に関する規則
  • 退職に関する規則
相対的必要記載事項
  • 退職手当に関する規則
  • 転勤や出向に関する規則
  • 懲戒に関する規則
任意的記載事項
  • 企業理念に関する記載

絶対的必要記載事項とは、必ず記載しなければならない項目です。
これが未記入だと、就業規則として認められないので注意が必要です。
相対的必要記載事項とは、会社に制度があれば記載しなければなりません。

例えば転勤がある会社ならば、転勤や出向に関する規則の記載が必要です。
任意的記載事項とは、経営者が記載したい内容を記載する項目です。
この3つの構成を柱にして就業規則を作成しましょう。

意見書の作成方法

就業規則の草案が完成したら、労働組合、もしくは労働者の過半数を代表する者に草案を確認してもらって意見書を作成します。
就業規則を届け出る際には意見書の添付が法律で義務づけられているので、特に問題がない場合も、「問題ありません」などと書いたものを添付してください。

なお、たとえ労働組合や労働者の過半数を代表する者が反対しても、意見書にその旨を記載すれば意見書は提出できます。
ただし、従業員の半数以上が反対している就業規則を適用すると、さまざまな問題が出てくるおそれもあるでしょう。

就業規則の届出方法

就業規則と意見書が完成したら、管轄の労働基準監督署に2部提出します。
届出方法は、郵送か窓口へ直接提出です。
2023年10月現在、Web経由での提出は認められていません。

提出された書類は1部は労働基準監督署に保管され、もう1部は付印を押したあとに返してもらえるので、社内に保管しましょう。
なお、就業規則は届出だけすればよいわけではありません。
従業員に周知徹底して、守ってもらう必要があります。
そのためにはどうすればいいか、経営者には工夫が求められます。

就業規則を変更しなければならない場合とは?

歴史ある会社のなかには、就業規則と現代の労働形態が合わない場合もあるでしょう。
また、就業規則を作成からそれほど時間が経っていなくても、会社の経営状態によっては就業規則の変更が必要になるケースもあります。
就業規則の変更に関する明確な基準はありませんが、経営者の目から見て就業規則が形骸化していると感じた場合は変更しましょう。

なお、就業規則の変更も経営者が勝手に行ってはいけません。
意見書の提出も必要です。
特に福利厚生の削減など従業員に対して不利益変更があった場合は、必ず従業員の賛成が必要です。

就業規則を届け出なかった場合はどうなる?

会社が故意に就業規則を届け出なかった場合は、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
これは法律で定められている決まりであり、遵守しましょう。

また、就業規則の変更届を出す基準や時期について明確な決まりはありません。
しかし、守れない就業規則は意味がないので気がついたら早めに変更しましょう。
なお、就業規則を届け出ても従業員に周知徹底されなければ意味がありません。
周知徹底に尽力してください。

まとめ

就業規則は雇用形態にかかわらず、10人以上の従業員が所属している場合は作成が必要です。
最初は10人未満で始めていた会社が大きくなった場合は、8~9人まで従業員が増えた時点で作成しておくと時間に余裕をもって作成できます。

また、就業規則は作っておしまいではありません。
従業員に内容を周知し、必要であれば変更しましょう。
その際も、従業員や労働組合の意見書も必要です。
手間がかかる作業であり時間に余裕をもって行いましょう。