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社会保険労務士として登録しないといけない?登録する必要性を解説
2023年04月30日
「社会保険労務士に合格したけれど、すぐに登録しないとならないのか?」
「登録しない場合、どのような不利益がある?」
社会保険労務士試験に合格した際、すぐに登録するべきか悩む方は多くいらっしゃいます。
結論からいうと、社会保険労務士として働くのであれば登録が必要です。
社会保険労務士として働かないのであれば、どちらでも問題はありません。
本記事では、試験に合格した方に向けて、登録するメリット・デメリットを解説していきます。
大きな費用がかかる手続きですので、悩んでいる方の参考になれば幸いです。
社会保険労務士に合格したら登録しないといけない?【必須ではない】
社会保険労務士に合格した場合、社会保険労務士会(全国社会保険労務士会連合会)への登録が認められます。
社会保険労務士として働きたいのであれば、登録は必須です。
登録には入会費や年会費など、決して安くはない費用が発生します。
そのため、すぐに登録するべきか悩む方も多いです。
結論をいうと、登録義務はありません。
社会保険労務士として働く予定がないのであれば、先送りにしてもよいです。
期限もないので、自分のタイミングで登録しましょう。
社会保険労務士として登録するメリット3つ
社会保険労務士は急いで登録しなくてもよいと解説しました。
しかし、登録することで得られるメリットもあります。
代表的な内容が以下の3つです。
・専門業務を請け負える
・社会保険労務士しか参加できない研修が受けられる
・専門職同士のコミュニティが広がる
それぞれの内容について、詳しく解説していきます。
専門業務を請け負える
社会保険労務士として登録すると、専門的な業務を請け負えるようになります。
例えば、労働・社会保険に関する法令に基づく申請書などの書類作成と提出を行う1号業務、労働・社会保険に関する法令に基づく帳簿書類を作成する2号業務などです。
登録者だけが閲覧できる求人にも応募できます。
反対に、登録しなければ「社会保険労務士」として名乗れないので、専門業務が請け負えません。
社会保険労務士しか参加できない研修が受けられる
登録すると、各都道府県の社会保険労務士会が開催する研修や自主学習セミナーに参加できます。
定期的に届く会報によって業界の流れや最新情報をキャッチできるのも大きなメリットです。
一方、登録しない場合は、自身で業界の流れや研修の情報を調べなければなりません。
スキルアップも独学しか方法がないため、はやく社会保険労務士としてスキルアップしたいのであれば、登録した方が効率的です。
専門職同士のコミュニティが広がる
登録者のみが知り得る研修に参加すると、専門職同士のコミュニティが広がります。
特に開業して独立した社会保険労務士にとって、人脈を広げられるのは大きなメリットです。
先輩方と交流をもつことによって、仕事上のアドバイスだけでなく、業務を斡旋してくれる可能性もあります。
独立してより多く経験を積みたいと思っている方は、登録しておいたほうがよいでしょう。
社会保険労務士として登録しないデメリット3つ
社会保険労務士としてすぐに働かないのであれば、急いで登録する必要はありません。
しかし、登録しない場合、以下のデメリットが生じます。
・名刺に肩書きが書けない
・専門業務を請け負えない
・経歴として使用できない
それぞれの内容についてみていきましょう。
名刺に肩書きが書けない
登録しない場合、社会保険労務士の資格があっても肩書きを使用できません。
もちろん「社労士」として名乗るのも禁止です。
登録せずに肩書きを名乗った場合は、100万円以下の罰金が課せられます。
ただし、「社会保険労務士」ではなく「試験に合格しました」といった旨を記載する分には問題ありません。
専門業務を請け負えない
登録しない場合、社会保険労務士として請け負える専門業務を遂行できません。
代表的なものが、1号業務・2号業務です。
労務や社保に関する相談・指導が主である3号業務は、登録しなくても遂行できます。
ただし、社会保険労務士としては名乗れないので、あくまでも「資格に合格した者」として名乗らなければなりません。
また、コンサルティング的な業務は請け負えますが、独占業務とされる書類関係はほかに依頼する形となってしまいます。
経歴として使用できない
社会保険労務士の試験に合格しても、経歴として使用はできません。
転職活動などで履歴書が必要な場合でも同じです。
経歴ではなく、資格の欄に「社会保険労務士試験合格」と記載しましょう。
登録していないにもかかわらず経歴として記載した場合は、名称の使用と同じように100万円以下の罰金が課せられます。
登録までの手順
試験合格から社会保険労務士会へ登録するまでの流れは、以下のとおりです。
- 事務指定講習を受ける(2年以上の実務経験のない方)
- 登録申請書類を提出
- 都道府県社会福祉労務士会の審査
- 全国社会保険労務士連合会の審査
- 証票の発行
書類を提出する際には、自分に当てはまる業務で申請する必要があります。
業務の区分は以下のとおりです。
開業 | 開業して独立する場合 |
社員 | 社会保険労務士法人を立ちあげる場合 |
勤務 | 事務所に雇用してもらう場合 |
そのほか | 専門業務はできないが、社会保険労務士会からの研修などに参加したい場合 |
証書は、3週間ほどで簡易郵便にて届きます。
登録に必要な費用
登録に必要な費用の総額は、申請する都道府県の社会保険労務士会によってさまざまです。
一例として、千葉県で申請する場合をまとめました。
開業・社員 | 勤務・そのほか | |
登録免許税 | 30,000円 | |
登録手数料 | 30,000円 | |
入会金 | 80,000円 | |
会費 | 84,000円/年 | 60,000円/年 |
合計 | 224,000円 | 200,000円 |
ほかにも、社会保険労務士会に入会した際に必ず入らなければならない「支部会費」「政連会費」の支払いも必要です。
実務経験のない方は、77,000円の講習代も費用に含まれます。
登録後の仕事内容
登録後は晴れて社会保険労務士として勤務できます。
仕事内容は多岐に渡り、社会保険労務士会から募集がかかる仕事のほかにも、多くの業務が舞い込んでくるでしょう。
近年は社会保険労務士の需要が減少するといったうわさも多いですが、業務内容によっては需要が急増しているジャンルもあります。
特に3号業務は、日本に企業が存在する限り発生し続ける業務です。
将来を不安視する声も多いですが、社会保険労務士の需要はまだまだつきません。
まとめ
社会保険労務士の試験に合格した場合、社会保険労務士会へ登録するか選択しなければなりません。
社会保険労務士として勤務するのであれば、必ず登録しましょう。
勤務する予定のない方は、急いで登録しなくても問題はありません。
社会保険労務士は社会保険労務士会に登録して初めて肩書きを名乗れます。
登録しなければ専門業務も請け負えないため、資格が活きる仕事をしたいのであれば、登録は必須です。