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『パート 残業代 15分』のルールと正しい計算法:1分単位で守る権利
2025年11月21日
パートタイマーにとって「パート 残業代 15分」というキーワードは非常に気になる問題です。
実際、多くの職場では残業時間を15分単位で丸めて計算する慣習がありますが、それが法律的に認められているかどうか、ご存じでしょうか。
本記事では、労働基準法に基づく正しい残業代の計算方法と、パート従業員が自分の権利を守るために知っておくべきポイントを、専門家監修の情報に基づいてわかりやすく解説します。
15分単位の実務が違法となるケースや例外的に認められる状況、そして労働者として取るべき対応法まで、安心して働くための知識をまとめました。

なぜ『パート 残業代 15分』が問題になるのか
多くの職場で行われている「15分単位」での残業代計算が、法律的に問題となる理由を確認しましょう。
1. 残業代は「1分単位」で計算が原則
労働基準法第24条では「賃金の全額払い」が義務付けられており、働いた時間分は正確に支払われる必要があります。
そのため、「パート 残業代 15分」といった15分未満を切り捨てる運用は原則として違法です。
つまり、14分の残業であっても、その分の賃金を支払う義務があります。
1日単位での丸めは認められない
日ごとの労働時間を15分単位などで切り捨てることは認められておらず、必ず1分単位での記録と給与支払いが必要です。
2. 月単位で認められる例外とその条件
一方で、1か月単位で集計した残業・休日・深夜労働時間に関しては、合計時間の30分未満を切り捨て、30分以上を切り上げるといった処理が認められる場合があります。
ただし、これはあくまで「月単位での端数処理」に限られ、日単位で15分単位に切り捨てる運用は違法です。
端数処理の具体例
例えば、1か月の時間外労働が10時間29分であれば10時間に切り捨て、10時間30分であれば11時間に切り上げるといった処理が一定の条件下でのみ認められます。
パートタイムでの残業代計算と割増率
パートタイマーであっても、法定労働時間を超えると残業代が発生します。
その計算方法と割増率を確認しましょう。
1. 所定労働時間と法定時間外の違い
パートでも「1日8時間・週40時間」を超えると法定時間外労働となり、通常の時給に25%以上の割増賃金が発生します。
扶養の範囲内勤務でも、超過労働があれば残業代は支払われなければなりません。
法定休日・深夜の割増率
法定休日は35%増し、深夜(22時〜5時)は25%増し、法定時間外かつ深夜の場合は50%増しになります。
勤務状況に応じて割増率が異なるため、就業時間の把握が重要です。
2. 実労働時間の証拠を残すことの重要性
パート従業員も、タイムカードやメール記録、勤務ログなどで実労働時間を証拠として残すことが大切です。
もし残業代の未払いが疑われる場合は、これらの記録をもとに会社や労働基準監督署に相談できます。
未払いがある場合の対応法
まずは直属の上司や人事担当者に相談し、それでも改善されない場合は、労働基準監督署への申告や弁護士への相談を検討しましょう。
実務的対応:企業側と労働者側の対策
誤った残業代の端数処理が法令違反にならないよう、双方が取るべき対策を紹介します。
1. 勤怠管理システムの導入と運用の見直し
1分単位での打刻・集計ができる勤怠管理システムを導入することで、残業代計算の精度が高まり、法令遵守が容易になります。
システム選びのポイント
日々の打刻データをリアルタイムで管理できる機能や、端数処理の自動化・アラート機能を備えたシステムが望ましいです。
就業規則と整合性の取れた運用を行いましょう。
2. 就業規則・給与規程の明確化
企業側は、残業代の端数処理や支払方法を就業規則や給与規程に明示し、従業員へ周知することが重要です。
これにより、不要なトラブルや誤解を防止できます。
労働条件の記載事項
賃金の決定方法、計算方法、支払時期などを明確に記載し、公正な労務管理を行いましょう。
まとめ
「パート 残業代 15分」というテーマは、多くの企業で見られる慣習的な運用ですが、労働基準法に定める賃金全額払いの原則に反し、原則として違法です。
残業代は1分単位で正確に計算・支払うことが求められ、例外的に月単位での端数処理が認められる場合を除き、切り捨ては許されません。
パートタイマーであっても、法定時間外労働・休日・深夜勤務には割増賃金が適用されます。
勤怠記録をしっかり残し、疑問があれば早めに相談することが大切です。
企業は勤怠システムや就業規則の整備を進め、労働者は自らの権利を理解して正当な賃金を受け取れる環境を整えましょう。
正しい知識を持つことが、安心して働ける職場づくりへの第一歩です。



