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有期雇用契約を更新しない時 | 法律的なポイントと注意点
2025年08月11日
「契約満了で終了のはずだったのに、なぜかトラブルに…」
有期雇用契約の更新をしないだけでも、雇止めとして問題になるケースがあることをご存じですか?
この記事では、有期雇用の基本から更新しない場合に注意すべき法律的ポイント、そしてリスク回避の具体策まで丁寧にご紹介します。
有期雇用契約を更新しない場合
有期雇用契約の更新を行わない場合、雇用主と労働者の双方にとってトラブルを防ぐための注意点が多数存在します。
特に契約内容の明確化や決定の通知時期・方法などが問題になることが多く、適切な手続きが求められます。
後々の紛争や法的リスクを避けるためにも、有期雇用契約の更新を行わない際には、法令や労働基準に沿って慎重に対応する必要があります。
有期雇用契約と正社員契約の違い
有期雇用契約とは、契約期間があらかじめ定められており、終了日が明確に設定されている雇用契約です。
一方、正社員契約(無期契約)は期間の定めがなく、原則として定年までの継続的な雇用が保証されています。
有期雇用では更新や契約満了による雇止めが発生しますが、正社員契約では原則として廃止や解雇という形になります。
この違いを把握しておくことが、トラブル回避の第一歩です。
更新拒否・雇止めの定義
更新拒否・雇止めとは、有期雇用契約の期間終了時に、雇用主が雇用を継続しないと判断し、契約の更新を行わないことを指します。
労働契約法により、雇用継続の期待があった場合には合理的な理由が必要となります。
また、「雇止め」は単に期間終了をもって自動的に退職とする行為ではなく、労働者が更新を強く希望している場合や過去に反復更新があった場合には厳格な対応が求められます。
雇止め時に必要な法律的手続き
雇止めを行う際には、まず労働者に対して契約満了前に更新しない旨を、できるだけ早く書面で通知する義務があります。
特に、1年以上勤務している場合や過去に2回以上契約更新が行われたケースでは30日前の予告が推奨されています。
また、更新拒否理由の説明責任も雇用主に課せられており、不合理な理由や説明が曖昧な場合は後々トラブルになることも少なくありません。
契約更新拒否の法的リスク
契約更新を拒否する際に正当な理由がなく、また手続きが適正でない場合、解雇権濫用と判断されるリスクがあります。
裁判所では、労働者の雇用継続への期待や過去の契約更新の実績なども重視されます。
仮に不当な雇止めと認定された場合は、雇用の継続や賃金の支払いを命じられることもあり、企業にとっては大きな経済的・社会的損失に繋がる可能性があります。
解雇との違いとその影響
雇止めと解雇は、労働者の立場や手続きに大きな違いがあります。
解雇は無期雇用の正社員などに対する一方的な契約解除で、厳しい法的規制があります。
一方雇止めは有期雇用契約の終了を意味しますが、場合によっては解雇と同等の配慮や手続きが求められます。
そのため、安易な雇止めは労使紛争や社会的信用の低下につながるおそれがあります。
労働者側からの異議申し立て
雇止めに納得できない場合、労働者には異議申立ての権利があります。
まずは雇用主に対して理由の説明を求め、不当だと感じた場合は労働組合や労働基準監督署などに相談が可能です。
また、労働審判や裁判といった法的な手続きに発展することもあります。
異議申し立てがあった場合、雇用主としては事実関係や手続きの正当性を証明できるよう、記録をしっかり残しておくことが重要です。
更新基準をあらかじめ明示する重要性
トラブル防止のためには、有期雇用契約時に契約更新の基準や条件を明確に示しておくことが不可欠です。
例えば、勤務態度や業務成績、経営状況など、客観的な評価基準を事前に労働者へ伝えることで、不透明な雇止めや誤解を防げます。
更新基準を曖昧にしたままでは、後の紛争時に雇用主が不利になるリスクも高まるため、書面で明示し双方が納得できる内容とすることが大切です。
労働基準監督署の関与と調査事例
雇止めや契約更新拒否に関しては、労働者からの相談や申告を受けて労働基準監督署が調査に入るケースがあります。
例えば、更新拒否の理由説明が不十分だったり、不正な書類改ざんなどが発覚した場合、企業に是正勧告が出されることもあります。
また、監督署介入前に適切な対応をしていれば、トラブルの拡大を防ぐことができた事例も多く報告されています。
日頃から法令順守を徹底しましょう。
相談窓口と利用できる公的サポート
雇止めや契約更新に関する悩みやトラブルは、ひとりで抱えず、第三者の相談機関を活用することが大切です。
主な相談窓口として、労働基準監督署や各都道府県の労働局、ハローワーク、法テラスなどがあります。
また、労働組合の「ユニオン」やNPOによる無料相談も利用が可能です。
専門機関を利用すれば、法的なアドバイスや調停・仲裁を受けることができ、問題の早期解決にもつながります。
まとめ|有期雇用契約の更新拒否を適切に行うために
有期雇用契約の更新拒否を巡る問題は、雇用主と労働者双方に影響を及ぼすため、特に慎重な対応が求められます。
事前の条件明示や法定手続きの順守、労働者への十分な説明がトラブル予防の基本です。
問題発生時には専門機関の活用も検討し、誠実かつ適切な手続きを行うことが重要です。
今後も法改正や社会情勢の変化に注視しつつ、より良い労使関係の維持を目指しましょう。